業務概要
東京航空路火山灰情報センターの役割
火山灰が航空機の運航に与える影響は、以下のように多岐にわたります。
- 火山灰が航空機のエンジンに吸い込まれるとエンジンが停止する
- 操縦席の風防ガラスに火山灰が衝突すると、擦りガラス状になり視界が利かなくなる
- 火山灰が飛行場に堆積すると離着陸できなくなる
これらの火山灰によって引き起こされる航空機の災害を避けるためには、民間航空会社、航空関係機関、気象監視局などに航空路上の火山灰情報を提供することが必要です。
国際民間航空機関(ICAO)は世界気象機関(WMO)の協力の下、航空路火山灰情報センター(VAAC)から火山噴火の監視と火山灰雲の実況・予測情報を各責任領域に提供する、国際的な航空路火山灰の監視体制を構築し、世界9か所のVAACを指名しました。
気象庁は1993年に東アジア及び北西太平洋を担当する東京VAACとしての指名を受け、1997年から民間航空会社、航空関係機関、気象監視局などに航空路火山灰情報(VAA)を提供しています。
現在は当初から責任領域を拡張し、東アジア・北西太平洋及び北極圏の一部に対する監視と情報提供を担当しています。
東京航空路火山灰情報センターの業務
火山灰雲の監視
VAACの業務において、火山噴火を早期に観測することは重要です。
日本国内の火山活動は、気象庁本庁(東京)に設置された「火山監視・警報センター」、札幌・仙台・福岡の各管区気象台に設置された「地域火山監視・警報センター」(以下、まとめて火山監視・警報センター)において監視しており、東京VAACでは、国内火山の噴火または爆発時に各火山監視・警報センターから火山現象の情報を受け取っています。
他方、 国外の火山活動の情報は、東京VAAC責任領域内の気象監視局(MWO)やカムチャツカ火山噴火対応チーム(KVERT)、フィリピン火山地震研究所(PHIVOLCS)、アラスカ火山観測所(AVO)および隣接VAACなどの関係機関から受け取っています。
また、航行中の航空機からの火山噴火に関する情報や静止気象衛星および極軌道衛星からの気象衛星画像も重要な情報源です。
火山灰の拡散予測
火山灰の動きの予測は、最適な飛行経路を決定するために重要です。
東京VAACによって開発された火山灰拡散予測モデルは、気象衛星画像により検知された火山灰雲の実況などをもとに、
気象庁数値予報モデルの最新の風向・風速などの予報値を用いて、6、12、18時間後の火山灰雲の位置および高度の予測を行います。
航空路火山灰情報(VAA)の配信
VAACは、MWOによる火山灰に関する空域気象情報(SIGMET)の作成を支援するために、ICAO別冊3で定められた書式に基づいて、火山灰雲の最新の実況と予測を示したVAAを、テキストと図情報の双方で配信します。
VAAは、火山灰が気象衛星画像で検知されている間、少なくとも6時間以内(通常00,06,12,および18UTC(協定世界時))に更新されます。
ただし火山灰雲に顕著な変化が起きれば随時更新されます。
火山灰雲の広がりが気象衛星画像で確認されれば、火山灰実況図および火山灰拡散予測図が配信されます。
VAAは気象庁および航空関係機関の通信網を通して民間航空会社、航空関係機関およびMWOなどに提供されます。
東京航空路火山灰情報センターの責任領域
赤色の三角形は活火山を示します(国際民間航空機関(ICAO)により作成されている火山データベースより)
航空路火山灰情報の流れ