よくある質問(エルニーニョ/ラニーニャ現象)

確率予測表現

確率予測表現とは何ですか
エルニーニョ/ラニーニャ現象の見通しをわかりやすくお知らせするため、エルニーニョ/ラニーニャ現象の発生・持続・終息の可能性を10%単位の確率で表現したものです。平成28年8月発表のエルニーニョ監視速報から導入しました。
見通しの文章に確率を記述するとともに、各月の確率を図で示しています。主文における見通しの表現とエルニーニョ/ラニーニャ現象の発生確率値の対応は以下の表のとおりです。


エルニーニョ/ラニーニャ現象の発生確率値と主文における見通しの表現

発生確率
エルニーニョ平常ラニーニャ主文における表現(発生確率は例)
現象現象
50%以上30%以下エルニーニョ現象が発生する(続く)可能性が高い(50%)
60%40%0%平常の状態が続く(になる)可能性もある(40%)が、
エルニーニョ50%40%10%エルニーニョ現象が発生する(続く)可能性の方がより高い(60%)。
現象の発生50%50%0%エルニーニョ現象が発生する(続く)可能性と
(持続)40%40%20%平常の状態が続く(になる)可能性が同程度である(50%)。
40%50%10%エルニーニョ現象が発生する(続く)可能性もある(40%)が、
40%60%0%平常の状態が続く(になる)可能性の方がより高い(60%)。
30%以下50%以上ラニーニャ現象が発生する可能性が高い(50%)
0%40%60%平常の状態が続く(になる)可能性もある(40%)が、
ラニーニャ10%40%50%ラニーニャ現象が発生する(続く)可能性の方がより高い(60%)。
現象の発生0%50%50%ラニーニャ現象が発生する(続く)可能性と
(持続)20%40%40%平常の状態が続く(になる)可能性が同程度である(50%)。
10%50%40%ラニーニャ現象が発生する(続く)可能性もある(40%)が、
0%60%40%平常の状態が続く(になる)可能性の方がより高い(60%)。
平常の状態
への移行30%以下50%以上30%以下平常の状態になる(が続く)可能性が高い(50%)。
(持続)
確率はどのように決めているのですか
エルニーニョ/ラニーニャ現象の予測では、予測の不確実性を考慮し、より精度の高い予測結果を得るために、数値予報モデルによる複数の予測結果を用いる「アンサンブル手法」を導入しています。具体的には、複数の初期値日における予測結果を組み合わせる「LAF法(時間ずらし平均法)」と、大気と海洋に摂動(解析の誤差程度のばらつき)を与える方法を合わせて採用しています。毎日3メンバー(個々の予報をメンバーと呼ぶ)の予測を実施し、16日前からの計17初期値日分の予測結果を用い、合計51メンバーのアンサンブルとしています。
これら51メンバーの予測からは、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値(前年までの30年間の各月の平均値)との差の5か月移動平均値が+0.5℃以上/−0.4℃~+0.4℃/−0.5℃以下となる場合をそれぞれエルニーニョ現象/平常/ラニーニャ現象(注)とし、エルニーニョ現象/平常/ラニーニャ現象となるメンバーの割合が得られます。その際、数値予報モデルが持つ予測誤差も考慮して、10%単位に修正した値を「エルニーニョ監視速報」に掲載しています。
(注):気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合を「エルニーニョ現象」、−0.5℃以下となった場合を「ラニーニャ現象」と定義していますが、「エルニーニョ監視速報」においては速報性の観点から、実況と予測を合わせた5か月移動平均値が6か月以上続けて+0.5℃以上(−0.5℃以下)となる場合に「エルニーニョ(ラニーニャ)現象が発生」と表現しています。
確率予測の精度はどの程度ですか
1991~2020年の各月の過去360事例に対する各10メンバーの予測実験を解析した結果、同期間年のエルニーニョ/ラニーニャ現象は概ね確率予測に対応した頻度で出現しており、客観的な確率予測が十分な精度を有していることが明らかとなっています。
以下の表は、情報の発表月の4か月後にエルニーニョ/ラニーニャ現象が50%以上の確率で発生していると予測した場合を対象として求めたものです。
エルニーニョ現象の予測における適中率は78%で、見逃し率は29%です。また、ラニーニャ現象の予測における適中率は73%で、見逃し率は30%です。このように、50%以上の発生が予測された場合に「可能性が高い」の表現を用いることが適切であることが確認できます。

エルニーニョ現象に対する成績

現象あり現象なし総数
現象ありと予測(確率50%以上)8023103
現象なしと予測(確率50%未満)32225257
総数112248360
予測の適中率   ( 現象ありと予測して実際に現象が発生した回数 (80) / 現象ありと予測した総数 (103) ):   78%
現象の見逃し率   ( 実際に現象が発生したのに現象なしと予測した回数 (32) / 現象ありの総数 (112) ):   29%
現象ありの捕捉率   ( 現象ありと予測して実際に現象のあった回数 (80) / 現象ありの総数 (112) ):   71%
誤発表率   ( 実際に現象が発生しなかったのに現象ありと予測した回数 (23) / 現象なしの総数 (248) ):   9%

ラニーニャ現象に対する成績

現象あり現象なし総数
現象ありと予測(確率50%以上)572178
現象なしと予測(確率50%未満)25257282
総数82278360
予測の適中率   ( 現象ありと予測して実際に現象が発生した回数 (57) / 現象ありと予測した総数 (78) ):   73%
現象の見逃し率   ( 実際に現象が発生したのに現象なしと予測した回数 (25) / 現象ありの総数 (82) ):   30%
現象ありの捕捉率   ( 現象ありと予測して実際に現象のあった回数(57) / 現象ありの総数 (82) ):   70%
誤発表率   ( 実際に現象が発生しなかったのに現象ありと予測した回数 (21) / 現象なしの総数 (278) ):   8%
エルニーニョ監視速報で予測誤差を表現した時系列(図1)と確率予測の資料(図2)の関係はどうなっていますか
図1では実況が70%の確率で入ると予測される黄色のボックスと確率密度分布のイメージを下図に赤細線で示しています。赤細線の確率密度分布の内、+0.5℃以上に入る面積の割合がエルニーニョ現象の発生する確率となります。
このため、図1の黄色のボックスが「+0.5℃以上(赤の範囲)/-0.4℃~+0.4℃/-0.5℃以下(青の範囲)」の各領域に入る割合は、図2で示す「エルニーニョ現象/平常/ラニーニャ現象」の発生確率値と概ね一致します。すなわち、黄色いボックスが背景の赤い領域に入る割合が大きくなるほど、エルニーニョ現象が発生している確率が大きくなります。ただし、図2では、これまでの実況経過や数値モデルの特性を踏まえて予報官が補正をしていることなどから、図1と図2の結果に違いが生じることがあります。
forecast probability
予測時系列図と確率の関係
エルニーニョ監視速報の確率予測表現と季節予報の確率予報に違いはありますか
季節予報では、1か月や3か月などの期間で平均した気温について「高い/並/低い」という3階級(過去の出現率が等しく33%)で将来の出現確率を予報しています。 これに対しエルニーニョ監視速報では、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均が「+0.5℃以上/-0.4℃~+0.4℃/-0.5℃以下」になる場合を「エルニーニョ現象/平常/ラニーニャ現象」として、発表日の4か月先までの各現象の出現確率を予測しています。予測対象とする各現象の過去の出現率は、季節予報の場合と異なり、月によって変化します。エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均が「+0.5℃以上/-0.4℃~+0.4℃/−0.5℃以下」になる場合を「エルニーニョ現象/平常/ラニーニャ現象」とした時の1949~2013年の65年間における出現率は以下の通りです。

エルニーニョ現象/平常の状態/ラニーニャ現象の出現率

中心月と1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
平均期間11月~3月12月~4月1月~5月2月~6月3月~7月4月~8月5月~9月6月~10月7月~11月8月~12月9月~1月10月~2月
エルニーニョ現象28%20%20%20%25%31%29%28%31%32%32%31%
平常の状態 43%54%55%57%57%48%46%43%42%32%34%37%
ラニーニャ現象 29%26%25%23%18%22%25%29%28%35%34%32%

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