インド洋熱帯域が高温時の世界の天候の特徴

エルニーニョ現象やラニーニャ現象だけではなく、西太平洋熱帯域やインド洋熱帯域の海面水温の変動も世界の天候にさまざまな影響を及ぼしている可能性があります。ここでは、統計期間1948年~2021年(冬は1947/48年~2020/21年)のデータを用いて、インド洋熱帯域が高温時に現れた世界の天候の特徴を、季節(北半球での )ごとにまとめました。

各月を中心とした3か月間の平均の特徴については、下のリンク“詳細版(月ごとの3か月平均図)を見る”からご覧になれます。調査方法の詳細については、下のリンク“調査方法について”をご覧ください。なお、以下の結果は統計的な調査の結果であり、そのすべてがインド洋熱帯域の海面水温の変動によって引き起こされているとは限りません。

インド洋熱帯域が高温時の3〜5月(北半球の春)の天候の特徴

気温は、 日本~東南アジア~インド洋~オーストラリア北部~ミクロネシア南部、北アフリカ南西部~中部アフリカ西部、南部アフリカ~東アフリカ南部、米国北部、カナダ西部~アラスカ、南米中部~カリブ海諸国~中部太平洋熱帯域で高温傾向が見られます。東シベリア中部、中央シベリア西部〜中央アジア北東部、米国南西部~メキシコ北部で低温傾向が見られます。
降水量は、 中国東部~ロシア南西部で多雨傾向が見られます。ミクロネシア西部~東南アジア北東部、北アフリカ西部~西アフリカ西部で少雨傾向が見られます。

インド洋熱帯域が高温時の世界の3月から5月にかけての気温と降水量の傾向の分布図
図1 インド洋熱帯域が高温時の3〜5月(北半球の春)の天候の特徴

インド洋熱帯域が高温の時に、平均気温の「高い(低い)」割合、及び降水量の「多い(少ない)」割合が統計期間(1948年~2021年)の気候的出現率よりも、信頼度水準90%以上で有意に大きい領域を、それぞれ「高温(低温)」、「多雨(少雨)」としてまとめて分布図に示しています。

インド洋熱帯域が高温時の6〜8月(北半球の夏)の天候の特徴

気温は、 東南アジア北東部~南アジア~インド洋、北アフリカ南西部~西アフリカ、南米北西部~中部太平洋熱帯域、ブラジル南東部~ウルグアイで高温傾向が見られます。オホーツク海南部~中国東部、ヨーロッパ南西部~北アフリカ西部、ニュージーランド及びその周辺で低温傾向が見られます。
降水量は、 ヨーロッパ東部及びその周辺で多雨傾向が見られます。中国北東部及びその周辺で少雨傾向が見られます。

インド洋熱帯域が高温の時の世界の6月から8月にかけての気温と降水量の傾向の分布図
図2 インド洋熱帯域が高温時の6〜8月(北半球の夏)の天候の特徴

インド洋熱帯域が高温の時に、平均気温の「高い(低い)」割合、及び降水量の「多い(少ない)」割合が統計期間(1948年~2021年)の気候的出現率よりも、信頼度水準90%以上で有意に大きい領域を、それぞれ「高温(低温)」、「多雨(少雨)」としてまとめて分布図に示しています。

インド洋熱帯域が高温時の9〜11月(北半球の秋)の天候の特徴

気温は、 東南アジア~南アジア~中東南部~南インド洋、ヨーロッパ東部~中部、南米北西部~中部太平洋熱帯域、ブラジル東部、オーストラリア南東部、オーストラリア南西部で高温傾向が見られます。日本海周辺、南米南部~南極半島、ポリネシア南部~オーストラリア北東部で低温傾向が見られます。
降水量は、 中国西部、ヨーロッパ南西部~北アフリカ西部、東アフリカ中部及びその周辺で多雨傾向が見られます。東日本~中国東部、東南アジア南部~オーストラリア南東部、南米北部、ポリネシア南西部~メラネシア南東部で少雨傾向が見られます。

インド洋熱帯域が高温時の世界の9月から11月にかけての気温と降水量の傾向の分布図
図3 インド洋熱帯域が高温時の9〜11月(北半球の秋)の天候の特徴

インド洋熱帯域が高温の時に、平均気温の「高い(低い)」割合、及び降水量の「多い(少ない)」割合が統計期間(1948年~2021年)の気候的出現率よりも、信頼度水準90%以上で有意に大きい領域を、それぞれ「高温(低温)」、「多雨(少雨)」としてまとめて分布図に示しています。

インド洋熱帯域が高温時の12〜2月(北半球の冬)の天候の特徴

気温は、 東日本~北西太平洋南部、オーストラリア北部~東南アジア~インド洋~南部アフリカ~北アフリカ中部、カナダ東部~中部、カナダ西部~アラスカ、南米中部~太平洋熱帯域で高温傾向が見られます。オホーツク海及びその周辺、ロシア北西部~ヨーロッパ北部、米国南部〜メキシコ北部で低温傾向が見られます。
降水量は、 東日本~中国南東部~モンゴル東部、中央アジア及びその周辺、ヨーロッパ南西部~北アフリカ北西部、米国南東部及びその周辺、米国南西部~メキシコ中部、アルゼンチン東部及びその周辺、太平洋熱帯域~ポリネシア南部で多雨傾向が見られます。ミクロネシア西部~東南アジア北東部、東南アジア南西部~オーストラリア南西部、北アフリカ南西部~西アフリカ北部、東アフリカ南部及びその周辺、カナダ西部~アラスカ南部、南米北部及びその周辺、ポリネシア南西部~オーストラリア北東部で少雨傾向が見られます。

インド洋熱帯域が高温時の世界の12月から2月にかけての気温と降水量の傾向の分布図
図4 インド洋熱帯域が高温時の12〜2月(北半球の冬)の天候の特徴

インド洋熱帯域が高温の時に、平均気温の「高い(低い)」割合、及び降水量の「多い(少ない)」割合が統計期間(1947/1948年~2020/2021年)の気候的出現率よりも、信頼度水準90%以上で有意に大きい領域を、それぞれ「高温(低温)」、「多雨(少雨)」としてまとめて分布図に示しています。

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