インド洋熱帯域が低温時の世界の天候の特徴
エルニーニョ現象やラニーニャ現象だけではなく、西太平洋熱帯域やインド洋熱帯域の海面水温の変動も世界の天候にさまざまな影響を及ぼしている可能性があります。ここでは、統計期間1948年~2021年(冬は1947/48年~2020/21年)のデータを用いて、インド洋熱帯域が低温時に現れた世界の天候の特徴を、季節(北半球での 春・夏・秋・冬)ごとにまとめました。
各月を中心とした3か月間の平均の特徴については、下のリンク“詳細版(月ごとの3か月平均図)を見る”からご覧になれます。調査方法の詳細については、下のリンク“調査方法について”をご覧ください。なお、以下の結果は統計的な調査の結果であり、そのすべてがインド洋熱帯域の海面水温の変動によって引き起こされているとは限りません。
- ※2023年5月30日〜2023年8月23日まで掲載されていた天候の特徴の記述に誤りがあったため、訂正しました。正誤表はこちら
インド洋熱帯域が低温時の3〜5月(北半球の春)の天候の特徴
気温は、 西シベリア北西部~ロシア北西部で高温傾向が見られます。中国南東部~東南アジア~オーストラリア~インド洋~中部アフリカ、ヨーロッパ東部~中部、カナダ南部~米国北西部、南米中部~中米南部~太平洋熱帯域で低温傾向が見られます。
降水量は、 東日本及びその周辺、オーストラリア南西部で多雨傾向が見られます。西シベリア南部~中央アジア北東部、ヨーロッパ北部、米国南東部及びその周辺、米国南西部で少雨傾向が見られます。
図1 インド洋熱帯域が低温時の3〜5月(北半球の春)の天候の特徴
インド洋熱帯域が低温の時に、平均気温の「高い(低い)」割合、及び降水量の「多い(少ない)」割合が統計期間(1948年~2021年)の気候的出現率よりも、信頼度水準90%以上で有意に大きい領域を、それぞれ「高温(低温)」、「多雨(少雨)」としてまとめて分布図に示しています。
インド洋熱帯域が低温時の6〜8月(北半球の夏)の天候の特徴
気温は、 東シベリア南西部~中国北東部~北日本、中央アジア、地中海東部沿岸、南極半島及びその周辺で高温傾向が見られます。中米南部~ペルーで低温傾向が見られます。
降水量は、 東シベリア西部、オーストラリア東部、オーストラリア北西部で多雨傾向が見られます。西シベリア南部~中央アジア北部、米国北部で少雨傾向が見られます。
図2 インド洋熱帯域が低温時の6〜8月(北半球の夏)の天候の特徴
インド洋熱帯域が低温の時に、平均気温の「高い(低い)」割合、及び降水量の「多い(少ない)」割合が統計期間(1948年~2021年)の気候的出現率よりも、信頼度水準90%以上で有意に大きい領域を、それぞれ「高温(低温)」、「多雨(少雨)」としてまとめて分布図に示しています。
インド洋熱帯域が低温時の9〜11月(北半球の秋)の天候の特徴
気温は、 中国南西部、ポリネシア南部~メラネシア南部、アルゼンチン南部~南極半島~南大西洋南部で高温傾向が見られます。中央シベリア南東部~北日本、西シベリア南部~中央アジア北東部、東南アジア~南アジア~中東南部~インド洋、ヨーロッパ西部、カナダ西部~アラスカ東部、南米中部~中米~中部太平洋熱帯域、オーストラリアで低温傾向が見られます。
降水量は、 中国北東部~モンゴル東部、東南アジア南部~オーストラリア南東部、メラネシア南部~ポリネシア南西部で多雨傾向が見られます。東シベリア西部~中央シベリア東部、西シベリア北東部、中央アジア中部~西部、イラン南部~サウジアラビア東部、ヨーロッパ南西部~北アフリカ西部、東アフリカ中部、カナダ東部、米国中部、太平洋熱帯域で少雨傾向が見られます。
図3 インド洋熱帯域が低温時の9〜11月(北半球の秋)の天候の特徴
インド洋熱帯域が低温の時に、平均気温の「高い(低い)」割合、及び降水量の「多い(少ない)」割合が統計期間(1948年~2021年)の気候的出現率よりも、信頼度水準90%以上で有意に大きい領域を、それぞれ「高温(低温)」、「多雨(少雨)」としてまとめて分布図に示しています。
インド洋熱帯域が低温時の12〜2月(北半球の冬)の天候の特徴
気温は、 ベーリング海西部~オホーツク海、ロシア北西部北極海沿岸~グリーンランドの東で高温傾向が見られます。モンゴル西部~中東東部~南アジア~インド洋~東南アジア~オーストラリア、中部アフリカ中部~東アフリカ南部~南部アフリカ中部、カナダ西部~アラスカ、南米中部~カリブ海諸国~中部太平洋熱帯域で低温傾向が見られます。
降水量は、 中部アフリカ北部、カナダ中部~米国北西部、メラネシア南部~オーストラリア南東部で多雨傾向が見られます。中国南東部及びその周辺、モンゴル西部及びその周辺、西シベリア南西部~中央アジア北部、メキシコ北部で少雨傾向が見られます。
図4 インド洋熱帯域が低温時の12〜2月(北半球の冬)の天候の特徴
インド洋熱帯域が低温の時に、平均気温の「高い(低い)」割合、及び降水量の「多い(少ない)」割合が統計期間(1947/1948年~2020/2021年)の気候的出現率よりも、信頼度水準90%以上で有意に大きい領域を、それぞれ「高温(低温)」、「多雨(少雨)」としてまとめて分布図に示しています。