降水の酸性度の経年変化
気象庁では、降水のpH(ピーエッチ又はペーハー、
酸性雨に関する基礎知識
参照)の観測を人為的な影響が少ない地点で行ってきました。岩手県大船渡市三陸町綾里にある大気環境観測所では、1976年から2011年まで、南鳥島気象観測所(東京都小笠原村南鳥島)では1996年から2020年まで観測を実施してきました。
綾里では、観測開始直後はpH5.0より大きく比較的酸性度が弱かったのですが、その後はpH4.4~5.0の範囲で推移し、観測した全期間(1976~2011年の36年間)を通して有意な変化傾向は見られません。人為的な影響がより少ない南鳥島では、綾里に比べて酸性度は弱く、2019年の降水のpHの平均値(降水量の重みをかけた加重平均値)は5.24でした。1996~2002年まではpH5.5~5.8の範囲で推移していましたが、2003年以降はそれらよりpHの低い酸性化した状態が継続しています。
南鳥島における2003年及び2005年のpHの顕著な低下は、南鳥島の南西約1,200kmにある北マリアナ諸島アナタハン火山における噴火活動が2003年5~6月及び2004年4月~2005年9月にかけて活発化したことによる、火山ガスの流入が原因の一つと考えられます。また、pHの低下には大陸から輸送されてくる酸性物質の影響も指摘されています。
図1 綾里及び南鳥島における降水のpHの経年変化
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降水の酸性度のデータ集
岩手県大船渡市綾里及び東京都小笠原村南鳥島で観測した降水の酸性度(pH)のデータ集です。
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気象庁が運営する酸性雨などの観測所を紹介します
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用語解説
酸性雨の診断情報で使われている用語について解説しています
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