オゾンホールの状況(2014年)

平成27年1月20日更新

診断

オゾンホール

  オゾンホールは、南極上空のオゾン量が極端に少なくなる現象で、オゾン層に穴の空いたような状態であることからその名が付けられました。南半球の冬季から春季にあたる8~9月ごろ発生、急速に発達し、11~12月ごろに消滅するという季節変化をしています。1980年代初めからこのような現象が観測されています。

2014年の南極域上空のオゾン層・オゾンホール

  衛星観測によると、2014年の南極域上空のオゾンホールは、例年と同様に8月に現れたのち拡大し、 9月後半には一時的に縮小しましたが、10月1日に年最大面積となる2,340万km2(南極大陸の約1.7倍)まで広がりました(図1、図2)。
  その後は、過去10年(2004~2013年)の平均に近いペースで縮小し、12月5日に消滅しています(図1)。

  2014年のオゾンホールの年最大面積は、過去(2004~2013年)の平均と同程度の大きさでした(「オゾンホールの経年変化」参照)。

  南極昭和基地(図2の印)の オゾンゾンデ観測によると、9月に入り昭和基地上空でオゾン層の顕著な破壊がみられるようになりました。9~11月の月平均オゾン分圧は、 オゾンホールが明瞭に現れる以前の1968~1980年平均(図中の細破線)と比べて下部成層圏の約13~20km付近で顕著に少なくなっていることがわかります(図3)。

オゾンホールの面積の推移


オゾン全量南半球分布図

図1 オゾンホールの面積の推移

  オゾンホールの規模を示す要素の一つであるオゾンホールの面積(オゾン全量が220m atm-cm以下の領域の面積)の推移。赤線は2014年、 灰色線は2013年、黒線は過去10年(2004~2013年)の平均値です。濃い紫色の領域の上端と下端は2004~2013年の最大値・最小値を表しています。 また、緑色の破線は南極大陸の面積です。米国航空宇宙局(NASA)提供の衛星観測データ(TOMSおよびOMIデータ)をもとに作成。

図2 2014年10月1日のオゾン全量南半球分布図

  中央の灰色の部分がオゾンホール。図の中央部および放射状に細長く広がっている白い領域は、衛星データが欠測となった領域です。 図中の印は、昭和基地の位置(南緯69度、東経39度付近)を示しています。 米国航空宇宙局(NASA)提供の衛星観測データ(OMIデータ)をもとに作成。



南極昭和基地オゾン分圧の高度グラフ 右矢印 南極昭和基地オゾン分圧の高度グラフ 右矢印 南極昭和基地オゾン分圧の高度グラフ 右矢印 南極昭和基地オゾン分圧の高度グラフ

図3 2014年8~11月の月平均オゾン分圧の高度分布グラフ(南極昭和基地)

赤線:実線は観測値の月平均値
細実線:月の参照値(1994~2008年平均)、横細実線:参照値の標準偏差。
点線:オゾンホールが明瞭に現れる以前の月平均値(1968~1980年平均)。
オゾン分圧(横軸)が大きいほど、その層のオゾン量が多いことを示します。


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