北半球高緯度のオゾン層の状況(2021年)
診断
2021年の北半球高緯度のオゾン層
2021年3月の北半球高緯度における月平均オゾン全量を、過去に大規模なオゾン層破壊が観測された2020年3月の例とあわせて図1に示します。
2021年3月の偏差分布は、シベリアを中心に負偏差、グリーンランドを中心に正偏差が広がりました(図1(b))。
北半球高緯度の下部成層圏(北緯60度以北50 hPa面)における2020年7月~2021年6月の最低気温は、1月上旬まで累年平均値と同程度かやや低い程度で推移しましたが、2021年1月上旬に成層圏突然昇温が起きて上昇し、2月中旬まで累年平均値より高く推移しました(図2)。
北半球高緯度の下部成層圏の気象状況から、2021年の北半球では顕著なオゾン層破壊は起こらなかったと考えられます。
(a)2021年3月のオゾン全量 |
(b)2021年3月のオゾン全量偏差 |
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(c)2020年3月のオゾン全量 |
(d)2020年3月のオゾン全量偏差 |
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図1 2021年3月及び2020年3月の北半球の月平均オゾン全量、オゾン全量偏差分布図
月平均オゾン全量の等値線間隔は15 m atm-cm、偏差の等値線間隔は5 %。
北極点付近の白色域は太陽高度角の関係で観測できない領域。
比較の基準は1997~2006年の月別累年平均値。
図は米国航空宇宙局(NASA)提供の衛星観測データをもとに気象庁で作成した。
図2 北半球高緯度上空(50hPa面)における北緯60度以北の領域最低気温の推移
赤線:2020年7月~2021年6月
、青線:2019年7月~2020年6月。
黒線:累年平均値 (7~12月は1979~2019年、1~6月は1979~2020年)。
灰色領域:標準偏差の範囲、紫色領域:最大値と最小値の範囲。
緑線:極域成層圏雲出現の目安である-78℃を示す。
気象庁の長期再解析(JRA-55)をもとに作成した。