5.2 都市化の影響による夏の気温の変化量と観測された気温・日照時間との関係
概要
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夏の都市化の影響
陰影は都市化の影響による平均気温の変化量(℃)を示す。緑枠域(領域A)は、9年間(2009~2017年)平均した都市化の影響による平均気温の変化の分布図において、1.5℃以上の比較的上昇量の大きい領域が概ね入るように選定。また、領域A内で観測データを参照する地点(9年間均質な観測データが揃う地点)は、○:東京、◇:羽田、□:(北から及び東から順に)鳩山、越谷、さいたま、青梅、所沢、府中、八王子の9地点。なお、東京の気温は2014年12月の観測場所の移転に伴う影響を補正したものを利用した。羽田では日照時間の観測は行っていない。 |
モデル計算値は、図1の緑枠内の陸域で平均した値。観測値は、8月の統計値が9年間均質なデータとして扱える9地点(鳩山、越谷、さいたま、青梅、所沢、東京、府中、八王子、羽田)で平均した値。東京は2014年12月の観測場所の移転に伴う影響を補正したものを利用している。右図のrは相関係数を示す。 |
モデル計算値は、図5.7の緑枠内の陸域で平均した値。観測値は、8月の統計値が9年間均質なデータとして扱える8地点(鳩山、越谷、さいたま、青梅、所沢、東京、府中、八王子)で平均した値。なお、羽田は日照観測を行っていない。右図のrは相関係数を示す。 |
解説
8月の気温に対する都市化の影響は年によって異なります。ヒートアイランド現象(都市化の影響)が現れやすい主な条件は晴れて日照の多い日であることから、この条件の年ごとの違いが関連していると考えられます。そこで、都市化の影響が明瞭に現れている東京都心部を中心とした領域(図1の緑枠内、以下「領域A」という。)を対象に、都市化の影響による気温の変化量(モデル計算値)と観測された気温・日照時間(観測値)との関係を調べました。都市化の影響の指標としては各年の8月の都市化の影響による平均気温の変化量を領域Aの陸域で平均した値を用いました。観測データ(月平均気温、月間日照時間 )の参照地点としては、領域A内で、8月の統計値が9年間均質なデータとして扱える9地点(鳩山、越谷、さいたま、青梅、所沢、東京、府中、八王子、羽田)を選出しました(図1)。
領域A内の8月の都市化の影響による平均気温の変化量(モデル計算値)と9観測地点で平均した平均気温(観測値)の経年変化図(2009~2017年)及びその散布図を図2に、また、領域A内の8月の都市化の影響による平均気温の変化量(モデル計算値)と8観測地点(羽田を除く)で平均した日照時間(観測値)の経年変化図(2009~2017年)及びその散布図を図3にそれぞれ示します。これらを見ると、8月の都市化の影響は平均気温や日照時間と強い相関があることがわかります。この結果より、日照時間が多い暑い夏ほど都市化の影響が大きくなることが確認できました。晴れて暑い夏の都市部では、都市化の影響の小さいところと比べて熱中症等のリスクがさらに高まることに注意が必要です。