臨時診断表 日本海、北海道南東方の海面水温が6月として過去最高
令和5年7月4日 気象庁発表
診断
6月の日本海、北海道南東方の海面水温は、平年よりかなり高くなり、解析値のある1982年以降で6月としては最も高くなりました。特に、日本海北部では5月に続き各月の海面水温として最も高い値となり、海域平均で平年より3℃高くなりました。
図1 6月の月平均海面水温分布図(左)、同平年差分布図(右) 左図の水色枠、緑枠、青枠が、それぞれ、日本海北部、日本海南部、北海道南東方の領域を示しています。平年差は海面水温の平年値(1991~2020年の30年間の平均値)からの差を示しています。この図の海面水温は速報値で、後から入手した観測値によって更新されることがあります。 |
解説
海面水温の状況
6月の日本海、北海道南東方の海面水温は、平年よりかなり高くなりました(図1)。6月の月平均海面水温は、日本海北部では17.0℃(平年差+3.0℃)、日本海南部では21.0℃(平年差+1.9℃)、北海道南東方では13.0℃(平年差+1.9℃)(いずれも速報値)となり、解析値のある1982年以降の6月の海面水温としては最も高くなりました(図2、表)。日本海北部では、5月に続き各月の海面水温として最も高い値となりました。
日本海では、5月に海面水温が平年よりかなり高かったことに加え、6月上旬から中旬にかけて平年より日射量が多く、6月中旬には風が弱かった影響で海面水温が平年より2.2〜3.2℃高くなりました※。
北海道南東方では、6月下旬に平年より日射量が多く、風が弱かった影響で、海面水温が平年より大きく上昇しました。短期的な上昇に加えて、この海域では、2022年9月から海面水温が平年よりかなり高い状態が続いています。その要因として、暖水渦や黒潮系暖水の影響が持続したことがあげられます(図3)。例年は房総半島沖を東に流れる黒潮続流が、2022年秋から常磐沖まで、2023年4月ごろからは三陸沖まで北上し(図3右の黒点線)、日本の東の東経148度以西では黒潮系暖水の広がりが大きくなっていました。一方で、親潮の面積は平年よりかなり小さくなっていました。
なお、6月の北日本の気温は、1946年の統計開始以降で6月として最も高くなりました。
※ 日射量が多いほど海面水温は上昇する傾向があります。また、風が弱いほど海面からの熱の放出が少なくなり、下層の低温の水との混合が起こりにくくなるため、海面水温の上昇が起こりやすい状況になります。
- 参考情報:報道発表「6月の天候」(令和5年7月3日発表)
- 参考図:親潮の面積の時系列図
今後の見通し
日本海北部、北海道南東方では、今後も7月下旬にかけて、海面水温が平年よりかなり高い状態が続く見込みです。日本海南部では、海面水温が平年より高いか、かなり高い見込みです(図4)。
その他
最新の状況や今後の見通しについて、日本近海の海面水温、日本近海の海流、海面水温・海流1か月予報をご覧ください。
- 参考情報:日本近海の海面水温
- 参考情報:日本近海の海流
- 参考情報:海面水温・海流1か月予報
参考資料
図2 日本海北部、日本海南部、北海道南東方の6月の月平均海面水温の推移(紫線は平年値(統計期間:1991年〜2020年))
図3 6月中旬の親潮域の100m深水温平年差分布図(左)と50m深海流分布図(右)
図の青枠は北海道南東方の領域を示しています。右図の黒点線は黒潮続流の北上がみられる海域を示しています。100m深水温平年差は平年値(1993~2017年の平均値)からの差を示しています。これらの図の海流、水温は速報値で、後から入手した観測値によって更新されることがあります。
図4 日本海北部、日本海南部、北海道南東方の海面水温の実況と予測の推移
青点線が過去の水温、赤太線が今後の予測、赤細線が平年値を示し、桃色の縦線が6月29日を示しています。予測は6月29日を初期値とした計算です。
表:日本海北部、日本海南部、北海道南東方の6月の月平均海面水温が高かった年(1982年以降)
順位 | 日本海北部 (平年値14.0℃) | 日本海南部 (平年値19.1℃) | 北海道南東方 (平年値11.1℃) | |||
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1 | 2023年 | 17.0℃ | 2023年 | 21.0℃ | 2023年 | 13.0℃ |
2 | 1998年 | 15.9℃ | 2013年 | 20.8℃ | 2020年 | 12.7℃ |
3 | 2020年 | 15.6℃ | 2020年 | 20.4℃ | 2019年 | 12.6℃ |