臨時診断表 北海道南東方、本州東方、日本海南部の海面水温が11月として過去最高

令和4年12月2日 気象庁発表

診断

   11月の北海道南東方、本州東方、日本海南部の海面水温は、平年よりかなり高くなり、解析値のある1982年以降で11月としては最も高くなりました。本州東方では9月以降、北海道南東方では10月以降、記録的に海面水温が高い状態が続きました。

図1 11月の月平均海面水温分布図(左)、同平年差分布図(右)

図1 11月の月平均海面水温分布図(左)、同平年差分布図(右)

左図の青枠、緑枠、水色枠が、それぞれ、北海道南東方、本州東方、日本海南部の領域を示しています。平年差は海面水温の平年値(1991~2020年の30年間の平均値)からの差を示しています。この図の海面水温は速報値で、後から入手した観測値によって更新されることがあります。

解説

海面水温の状況

   11月の北海道南東方、本州東方、日本海南部の海面水温は、平年よりかなり高くなりました(図1)。11月の月平均海面水温は、北海道南東方では12.9℃(平年差+1.8℃)、本州東方では20.4℃(平年差+1.4℃)、日本海南部では18.6℃(平年差+1.2℃)(いずれも速報値)となっており、解析値のある1982年以降の11月の海面水温としては最も高くなりました(日本海南部では2010年と並んで1位タイ、図2)。
   北海道南東方、本州東方では、8月下旬から9月中旬にかけて暖かく湿った空気が流れ込んだ日があったほか、高気圧に覆われて平年より日射量が多く、風が弱かった日もあり、9月中旬には広い範囲で海面水温が平年よりかなり高くなりました。9月以降は、平年では海面水温が低下する時期ですが、今年は平年に比べて大きく低下することはなく、海面水温が平年よりかなり高い状態が11月まで続きました。海面水温が低下しにくかった要因の1つとして、これらの海域では、期間中、暖水渦や黒潮系暖水の影響を受け、下層まで水温が平年より高かったことがあげられます(図3)。なお、本州東方では9月以降、北海道南東方では10月以降、月平均海面水温が解析値のある1982年以降で各月の海面水温として最も高い値となっており、記録的に海面水温が高い状態が続きました。これらの海域では、黒潮系暖水の広がりが大きかった一方で、親潮の面積は平年よりかなり小さくなっていました。
   日本海南部では、10月はおおむね海面水温が平年より高く経過しましたが、11月は平年より風が弱かったことに加え、11月中旬、下旬には暖かく湿った空気の影響もあり、月を通じて海面水温が平年よりかなり高くなっていました

※ 日射量が多く、風が弱いほど、海面水温は上昇しやすく、低下しにくいという関係があります。また、暖かく湿った空気に覆われた場合にも、海面から熱が奪われにくいため、海面水温が上昇しやすく、低下しにくくなります。

今後の見通し

   北海道南東方、本州東方、日本海南部では、今後も12月下旬にかけて、海面水温が平年よりかなり高い状態が続く見込みです(図4)。今後の水産業等への影響に留意してください。

その他

   最新の状況や今後の見通しについて、日本近海の海面水温、海面水温・海流1か月予報をご覧ください。

参考資料

図2 北海道南東方、本州東方、日本海南部の11月の月平均海面水温の推移

図2 北海道南東方、本州東方、日本海南部の11月の月平均海面水温の推移(紫線は平年値(統計期間:1991年〜2020年))

図3 11月中旬の親潮域の100m深水温平年差分布図

図3 11月中旬の親潮域の100m深水温平年差分布図

図の青枠、緑枠が、それぞれ、北海道南東方、本州東方の領域を示しています。平年差は100m深水温の平年値(1993~2017年の平均値)からの差を示しています。この図の水温は速報値で、後から入手した観測値によって更新されることがあります。

図4 北海道南東方、本州東方、日本海南部の海面水温の実況と予測の推移

図4 北海道南東方、本州東方、日本海南部の海面水温の実況と予測の推移

青点線が過去の水温、赤太線が今後の予測、赤細線が平年値を示し、桃色の縦線が11月29日を示しています。

表:北海道南東方、本州東方、日本海南部の11月の月平均海面水温が高かった年

順位北海道南東方
(平年値11.1℃)
本州東方
(平年値19.0℃)
日本海南部
(平年値17.4℃)
12022年12.9℃2022年20.4℃2022年18.6℃
22018年12.5℃1990年20.3℃2010年18.6℃
31990年12.5℃1999年20.2℃1999年18.5℃

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