実践! どのような気候のときにどのような影響があるかを見積もる

“影響を与える気候”とは何かを定量的に見積もる
業務でお使いのデータと気象データを使ってお互いの関係を調べます


<必要なもの>

挿絵

2種類のグラフ 「時系列図」と「散布図」 を描いてみましょう

ここではみなさまが業務でお使いのデータと気象データとの関係を調べるための2種類のグラフを紹介します。

○時系列図
それぞれのデータを時間軸に沿ってプロットすることで両者の変動の関係を把握することができます。

○散布図
それぞれのデータを縦軸・横軸にプロットすることで両者の関係を視覚的に把握することができます。

グラフの例 その1 まずは単純にデータを並べてみる

<時系列図> 時間に沿って並べる
・気象データ:東京の日ごとの最高気温・最低気温
・業務などのデータ:レディスコートの売上数(日本アパレル・ファッション産業協会提供)
・期間:2011年 10-12月
*グラフは、最高気温(赤)最低気温(青)売り上げ数(緑)。縦軸の単位は℃、横軸は日付。

影響評価グラフ1

<実践!>
このグラフを作成するための気象データをツールで取得するには? [PDF形式:約0.6MB]
○見て取れること
気温と販売量との関係があるように見えるがそこまで明瞭ではない?
<散布図> その時の気象との関係を見る
・気象データ:大阪の日ごとの最高気温
・業務などのデータ:大阪府の熱中症の搬送者数(総務省消防庁提供)
・期間:2008-2012年 6-9月
*縦軸は日ごとの搬送者数。横軸は同じ日の最高気温。

影響評価グラフ2

<実践!>
このグラフを作成するための気象データをツールで取得するには? [PDF形式:約0.6MB]
○見て取れること
日平均気温が32℃を上回ると搬送者数が急増という関係が明瞭に見られる。
⇒気温が高い日に熱中症の発生が多いのは常識かもしれないが何℃くらいから特に注意すべきかという基準がわかる

このようにグラフを描くことで気温と業務データとの関係や着目する値などを把握することができます。
しかし気候だけで全てが決まるわけではない と思われるかもしれません。
それはそのとおりです。気候はあくまでも影響を与えるひとつの要素にすぎません。 ただしその影響の割合がどれほど大きいかについてもグラフを描くことで見積もることができます。

また、左の時系列図では気温と売り上げとの関係がよくわからないと思われるかもしれません。この場合は、気温と売り上げとの関係が小さいということになるのでしょうか?
このような場合はお手持ちのデータの特徴を考慮してグラフを描いた方がよいことがあります。 グラフのコートの売り上げのデータで考えると、 売り上げはどうしても買い物客の多い土曜日曜が多くなります。 また、いつごろからコートの売り出しに力を入れ始めるかなどと販売側の戦略なども影響します。
そこで例えば以下のような一日ごとの値を用いるよりも、ある期間を平均したほうが関係が見えてくる場合もあります。

例えば以下のような場合が考えられます。
・ある気候が一定期間続くと影響が大きい場合
・土日の影響を消す場合 → 上のコートの売り上げの場合などが該当します。

また2週間以上先の気候の予測情報を利用する場合、現状では気温は日平均気温を7日間平均したものが基本となっています。そこで 予測値の利用を想定する場合は予測値として存在する7日間平均気温との関係を見ることも必要になります。

グラフの例 その2 データを少し加工する:それぞれのデータを7日間平均(合計)

<時系列図>
・気象データ:東京の7日間平均した最高気温・最低気温
・業務などのデータ:レディスコートの7日間の売り上げ数合計(日本アパレル・ファッション産業協会提供資料を元に作成)
・期間:2011年 10-12月
*グラフは、最高気温(赤)最低気温(青)売り上げ数(緑)。縦軸の単位は℃、横軸は日付。

影響評価グラフ1

<実践!>
このグラフを作成するための気象データをツールで取得するには? [PDF形式:約0.6MB]
○見て取れること
7日間平均することにより、土日の影響を取り除いたことで売り上げに対する気温の影響が徐々に見えてきた。
<散布図>
・気象データ:大阪の日平均気温の7日間平均
・業務などのデータ:大阪府の熱中症の搬送者数の7日間平均(総務省消防庁提供資料を元に作成)
・期間:2008-2012年 6-9月
*縦軸は7日間の搬送者数。横軸は同じ期間の平均気温(日平均気温の7日間平均)。

影響評価グラフ2

<実践!>
このグラフを作成するための気象データをツールで取得するには? [PDF形式:約0.7MB]
○見て取れること
日々の最高気温との関係が深いが平均気温を7日平均してみても7日間の平均気温が28℃を上回ると搬送者数が増えるという関係が見られる
⇒7日間単位で気温を予想している季節予報の利用可能性が!!

上の左の例のようにそれぞれのデータを加工して比較することで特徴が見えてくることがあります。 お手持ちのデータの特徴を一番理解しているのはリスク当事者であるデータをお持ちのみなさんです。 データの特徴に合わせて作業を行うことで気候との関係を発見できるかもしれません。 また、「○℃だと××が売れ始める」といったこれまで言われていた関係を確認したり、見直すことができるかもしれません。

影響を見積もる際には以下の点にも留意するとよいかもしれません。

  • 見積もりに利用するデータの数は多い方がいい
  • 複数年の同じ時期の比較などは影響が見えやすい
  • 定期的に関係を調べ直す
  • 相関係数をとるなどさらに高度な分析を行う

<実例の紹介>

アパレル業界における気候の影響の評価

“影響を与える気候”を定量的に見積もることができたら続いては
“影響を与える気候”が起こる可能性を見積もってみましょう

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