観測値・統計値を使って見通しを立てる

過去の観測値やその統計値を利用することでこれからの気候の見通しを立てることができます。

平均値を使って見通しを立てる

過去の一定期間の平均値を使って見通しを立てることを考えます。 気象庁では、ある30年間の平均値を平年値と呼び、平均的な気候状態を表すのに用いています。 図1は、2010年平年値(1981-2010年)を用いて、大阪の7日間平均気温の平年値を描画したグラフです。ここで7日間平均を用いたのは、日々の細かな変動を取り除くことと7日間が日常生活のリズムに合っているためです。このように平年値を用いてどの時期にどの程度の気温になるかの見通しを立てることができます。

7日平均気温の平年値

図1 7日間平均気温の平年値の時系列図(地点は大阪)

気温のように近年の温暖化の傾向が明瞭な要素であれば、最近の傾向を反映した10年間などのもっと短い期間の平均値を用いて見通しを立てる方法も考えられます。 図2は大阪の7日間平均気温の平年値と2001-2010年平均値を描画したグラフです。7日間平均気温が25℃を超える初日は、平年値では6月26日になりますが、 2001-2010年の平均値では6月23日と早くなっています。 また、7月1日の平均気温は平年値では25.8℃なのに対し2001-2010年の平均値では26.5℃となっています。

平年値と最近10年平均値との比較

図2 7日間平均気温の平年値と2001-2010年平均値の比較
(地点は大阪:期間は6月中旬から7月中旬)
このグラフを作成するための気象データをツールで取得するには?[PDF形式:約0.7MB]

より最近の傾向を重視したいという場合には平均値を作成する期間を更に短く選択することも考えられます。 過去の気象データ・ダウンロードツールで同じ時期の過去数年分の平均値といったデータが取得できるようになりました。

変動の幅にも注目する

平均値はある時期に対して値がひとつのため平均的な気候の状況をひとめで把握することができます。 しかし、これからの見通しをたてる場合には、過去の気温の変動の幅がどのくらいだったかを知っておくことも大切になります。

年々変動の大きさ

図3 7日間平均気温の2001-2010年平均値(太青線)と同じ期間の各年の時系列
(地点は大阪:期間は6月中旬から7月中旬)
このグラフを作成するための気象データをツールで取得するには?[PDF形式:約1.1MB]

図3は2001-2010年の7日間平均気温の平均値(太青線)と1年ごとの気温(細い線)を描いたグラフです。 同じ時期でも年によって気温の変動の様子が異なることがわかる一方で、どの程度の幅でばらついているかを把握することもできます。

このようにひとつの値だけでなく変動の幅を前もって把握しておくことで「想定外」の事例を減らすことができます。 気候リスク管理の視点で考えると、気候の影響の大きさに応じて、より長い期間(例えば過去50年など)においてどの程度極端な気候が発生したかを把握しておくことも役立つと考えられます。


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