一酸化炭素観測に関する較正

気象庁では一酸化炭素濃度較正装置(図1)を整備して、一酸化二窒素などと同様に2段階に分けた一酸化炭素標準ガスの管理を行っています(図2)。


標準ガス

一次標準ガス
気象庁の一酸化炭素濃度観測の基準となる1段目の一次標準ガスとして、約30~680ppbの濃度範囲にある4本のボンベを使用しています。これらの一次標準ガスは、時間経過とともにみられるボンベ内でのガス濃度の変化(以下、これを濃度ドリフトと表します)の少ないアルミニウム製の48リットルボンベに一酸化炭素を空気ベースで充填したものであり、米国海洋大気庁地球システム調査研究所(NOAA/ESRL)が維持する世界気象機関(WMO)の標準ガス(Novelli et al. , 1994)を用いて、2006年12月および2010年3月に正確な濃度が決定されています。この濃度基準はWMO COスケールと呼ばれ、これにより国際的にトレーサビリティが確保されています。

観測用標準ガス
各観測地点で使用される2段目の観測用標準ガスは4本のボンベで構成されており、一酸化炭素濃度較正装置により一次標準ガスを使って濃度が決定されたのち、各観測地点へ送られます。濃度ドリフトの確認のために、各観測地点での使用が終了したのちに気象庁へ戻されて、再度一次標準ガスで濃度の確認が行われます( 「大気一酸化炭素の観測」 参照)。


較正装置

一酸化炭素濃度較正装置には、検出器に還元性ガス検出器(RGD)を使用したガスクロマトグラフ方式の分析計(㈱ラウンドサイエンス製TRA-1)を用いています。一酸化炭素濃度較正装置の再現性は、標準ガスを10回導入し、そのピーク面積平均の標準偏差で3ppb以下となっています。

一酸化炭素濃度較正装置

図1 一酸化炭素濃度較正装置

気象庁の一酸化炭素標準ガスの較正体系

図2 気象庁の一酸化炭素標準ガスの較正体系


関連情報


参考文献

Novelli, P. C., K. A. Masarie, P. M. Lang, B. D. Hall, R. C. Myers, and J. W. Elkins, 2003: Reanalysis of tropospheric CO trends: Effects of the 1997-1998 wildfires. J. Geophys. Res., 108(D15), 4464, doi:10.1029/2002JD003031.



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