オゾンホールの状況(2017年)

平成31年1月21日更新

診断

  (注意)2017年のオゾンホールの実況を9月~翌年1月頃まで毎月更新して報告しています。掲載したデータは速報値ですので、今後値が見直される場合があります。

オゾンホール

  オゾンホールは、南極上空のオゾン量が極端に少なくなる現象で、オゾン層に穴の空いたような状態であることからその名が付けられました。南半球の冬季から春季にあたる8~9月ごろ発生、急速に発達し、11~12月ごろに消滅するという季節変化をしています。1980年代初めからこのような現象が観測されています。

2017年の南極域上空のオゾン層・オゾンホール

  衛星観測によると、2017年のオゾンホールは8月上旬に観測され、11月19日に例年より早く消滅しました。その面積は、8月中旬以降、最近10年間の平均値よりも小さく、9月中旬から下旬にかけては最近10年間の最小値より小さく推移しました(図1)。 2017年のオゾンホールの最大面積は、9月11日に観測した1,878万km2 (南極大陸の約1.4倍)で、過去29年間の最小値となりました(図2)。
  南極昭和基地(図2中の印)で行われたオゾンゾンデ観測によると、 9月に入り、昭和基地上空で顕著なオゾン破壊が観測されるようになりました(図3)。 9月と10月の月平均オゾン分圧は、高度約12km以上で、オゾン破壊が明瞭に現れる以前(細破線)と比べて概ね低くなりましたが、 参照値(オゾン量の減少傾向が止まり、少ない状態で安定していた期間の平均値)と比べると概ね高くなりました。

オゾンホールの面積の推移 オゾン全量南半球分布図

図1 オゾンホールの面積の推移

  オゾンホールの規模を示す要素の一つであるオゾンホールの面積(オゾン全量が220m atm-cm以下の領域の面積)の推移。赤線は2017年、 橙線は2016年、黒線は過去10年間(2007~2016年)の平均値です。濃い紫色の領域の上端と下端は2007~2016年の最大値・最小値を表しています。 また、緑色の破線は南極大陸の面積です。米国航空宇宙局(NASA)提供の衛星観測データ(OMIデータ)をもとに作成。

図2 2017年09月11日のオゾン全量南半球分布図

  中央の灰色の部分がオゾンホール。図の放射状に細長く広がっている白い領域は、衛星データが欠測となった領域です。 図中の印は、昭和基地の位置(南緯69度、東経39度付近)を示しています。 米国航空宇宙局(NASA)提供の衛星観測データ(OMIデータ)をもとに作成。


南極昭和基地オゾン分圧の高度グラフ 右矢印 南極昭和基地オゾン分圧の高度グラフ 右矢印 南極昭和基地オゾン分圧の高度グラフ 右矢印 南極昭和基地オゾン分圧の高度グラフ

図3 2017年8~11月の月平均オゾン分圧の高度分布グラフ(南極昭和基地)

赤線:実線は観測値の月平均値
細実線:月の参照値(1994~2008年平均)、横細実線:参照値の標準偏差。
細破線:オゾンホールが明瞭に現れる以前の月平均値(1968~1980年平均)。
オゾン分圧(横軸)が高いほど、その層のオゾン量が多いことを示します。



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