世界のオゾン層の状況(2022年)
診断
2022年の世界のオゾン層(年平均)
2022年の年平均オゾン全量は、北半球では正偏差と負偏差が波状に分布し、南半球では広く負偏差となりました。 特に南半球高緯度の負偏差は顕著となり、南極オゾンホールの規模が例年より大きく推移したことが要因と考えられます。
(a)年平均オゾン全量 |
(b)年平均オゾン全量偏差(%) |
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2022年の世界のオゾン全量及び偏差の年平均分布図
それぞれの等値線は(a)が15 m atm-cm間隔、(b)が2.5 %間隔である。
(b)の偏差(%)は累年平均値(1997~2006年)からの差の割合。
冬季の高緯度付近は、太陽高度角の関係で観測できない期間を除いて計算した。
図は米国航空宇宙局(NASA)提供の衛星観測データをもとに気象庁で作成した。
2022年の世界のオゾン層(月平均)
月平均オゾン全量・偏差の分布図で年間のオゾン層の変化をさらに詳しくみてみます。
北半球では、1~3月、8~12月の中緯度及び高緯度で、-10%以下の負偏差や+10%以上の正偏差の領域が所々でみられました。これら負偏差の領域は、対流圏界面の高度が平年より高い領域、正偏差の領域は、対流圏界面の高度が平年より低い領域に対応していますが、2月、3月に高緯度でみられた-20%以下の負偏差の領域は、北極域上空で極域成層圏雲が出現するような気温の低い状況が継続したことが要因と考えられます。
赤道付近では、1~5月まで全域が負偏差でしたが、6月から正偏差の領域が徐々に拡大し12月には全域が正偏差となりました。一方、赤道から少し離れた南北両半球の緯度25度付近では、1~3月は正偏差の領域が広くみられましたが、4月以降は縮小しました。
これらは、4月頃まで正の位相(高度とともに西風から東風に変化)だった成層圏準2年周期振動(QBO)が、5月頃から徐々に負の位相(高度とともに東風から西風に変化)に変化したことと対応しています。
南半球では、8月、9月、12月に主に南大洋で+10%以上の正偏差や-10%以下の負偏差がみられました。また、10月、11月は中緯度及び高緯度で負偏差の領域が広がり、南極域では-20%以下の領域もみられました。 これは、南極オゾンホールの規模が例年より大きく推移したことが要因と考えられます(「南極オゾンホールの状況(2022年)」を参照)。