世界のオゾン層の状況(2020年)

令和3年9月7日更新

診断

2020年の世界のオゾン層(年平均)

   2020年の年平均オゾン全量は、南北両半球の中緯度の一部と北半球の低緯度で正偏差、それ以外の領域で負偏差となりました。その中で、南北両半球高緯度の負偏差は顕著になりました。これは、北半球高緯度では春季の北極域でオゾン層破壊が例年よりも大きかったこと、南半球高緯度では南極オゾンホールの規模が例年より大きく推移したことが要因と考えられます。

(a)年平均オゾン全量

(b)年平均オゾン全量偏差(%)

オゾン全量 オゾン全量偏差

2020年の世界のオゾン全量及び偏差の年平均分布図

それぞれの等値線は(a)が15 m atm-cm間隔、(b)が2.5 %間隔である。
(b)の偏差(%)は累年平均値(1997~2006年)からの差の割合。
冬季の高緯度付近は、太陽高度角の関係で観測できない期間を除いて計算した。
図は米国航空宇宙局(NASA)提供の衛星観測データをもとに気象庁で作成した。



2020年の世界のオゾン層(月平均)

   月平均オゾン全量・偏差の分布図で年間のオゾン層の変化をさらに詳しくみてみます。
  北半球では-10%以下の負偏差は、2月から5月の北半球高緯度の広範囲でみられ、特に3月の北極周辺では-40%以下の負偏差がみられました。+10%以上の正偏差は、1月、2月の北アメリカ大陸等でみられました。 北半球高緯度の負偏差の領域は、春季の北極域でオゾン層破壊が例年よりも大きかったことが要因と考えられ、北アメリカ大陸の正偏差は、対流圏界面の高度が平年より低い領域に対応しています。
  赤道付近では、1月から6月まで全域負偏差でしたが、7月以降は正偏差がみられました。一方、赤道から少し離れた南北両半球の緯度25度付近では、1月から4月頃まで正偏差の領域が広くみられ、5月に縮小しました。 これらは、4月頃まで正の位相(高度とともに西風から東風に変化)だった成層圏準2年周期振動(QBO)が、5月頃から徐々に負の位相(高度とともに東風から西風に変化)に変化したことと対応しています。
  南半球では、1月から2月に南極域で+10%以上の正偏差が、7月から9月に南太平洋から南大洋で-10%以下の負偏差が、アフリカ大陸の南からインド洋南部、南アメリカ大陸の南で+10%以上の正偏差がみられました。10月以降は、高緯度で負偏差が広がり、特に11月は-30%以下となりました。 これは、南極オゾンホールの規模が例年より大きく推移したことが要因と考えられます(「南極オゾンホールの状況(2020年)」を参照)。


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