地上オゾンの観測

分析計

地上オゾン濃度の観測には、紫外線がオゾンに吸収される性質を利用した紫外線吸収式オゾン濃度計を用いています。各観測地点で現在使用しているオゾン濃度計は、Thermo Fisher Scientific社製の49iです(図1参照)。

地上オゾン観測装置(与那国島)

図1 地上オゾン観測装置(与那国島)


大気試料の採取及び分析

国内の各観測地点では庁舎屋上の、南極昭和基地では清浄大気観測室屋上の各専用取入口(地上高は綾里及び南鳥島:8m、与那国島:10m、昭和基地:4m)から大気試料を毎分10Lの流量で採取しており、このうち毎分1.5Lをオゾン濃度計へ分岐しています。取入口や配管には全て、その表面でオゾンが破壊されにくいテフロンを用いており、配管の長さも極力短くしています。綾里、南鳥島及び与那国島では10秒ごと、昭和基地では12秒ごとに濃度を求めています。


濃度の決定方法

観測に使用するオゾン濃度計は、気象庁本庁にある基準のオゾンガス発生器により、あらかじめ正確に較正されています( 「地上オゾン観測に関する較正」 参照)。このため、通常はオゾン濃度計の出力値を観測値とします。観測地点での使用前後に本庁で行う較正によりオゾン濃度計出力値に時間経過とともに見られる変化が検出された場合には、その変化量に応じて補正を行い、最終的な濃度値を決定します。
このようにして求めた気象庁の各観測地点における地上オゾン濃度値は、気象庁のオゾン濃度計すべてが世界気象機関(WMO)標準にトレーサブルであるため、WMO標準にトレーサブルな各国の観測地点の濃度値と直接比較することができます。
各観測地点のオゾン濃度計は、半年ごとに気象庁本庁へ移動させ較正を実施しています。オゾン濃度計を交換する場合には、観測地点で1か月以上の並行観測を実施して、観測に問題がないことを確認しています。


統計値の算出

各観測地点で得られた観測値をもとに、気象庁では観測値の品質管理を経て統計処理を行っています。時別値は、測器の点検、故障時等を除いた全観測値を用いて算出され、観測値が1時間内の半数以上で得られている場合の時別値をもとに日別値及び月別値を算出しています。
地上オゾンの観測値には、地上付近(接地境界層内)の局地的な変動が含まれていると考えられます。光化学的な生成・消滅や地面との接触による消滅によって大気中で常に変動するのがオゾンの本来の性質であることから、日別値、月別値を求める際にバックグランドデータの選別を行っていません。


関連情報



    温室効果ガス等の観測方法に関する知識トップページへ

    温室効果ガスWeb科学館へ

    温室効果ガストップページへ

このページのトップへ