世界のオゾン層の状況(2019年)

令和2年8月5日更新

診断

2019年の世界のオゾン層(年平均)

   2019年の年平均オゾン全量は、南北両半球の中緯度と高緯度で正偏差、それ以外の赤道付近と南北両半球の低緯度で負偏差となりました。その中で、南半球高緯度の正偏差は特に顕著となっていました。

(a)年平均オゾン全量

(b)年平均オゾン全量偏差(%)

オゾン全量 オゾン全量偏差

2019年の世界のオゾン全量及び偏差の年平均分布図

それぞれの等値線は(a)が15 m atm-cm間隔、(b)が2.5 %間隔である。
(b)の偏差(%)は累年平均値(1997~2006年)からの差の割合。
冬季の高緯度付近は、太陽高度角の関係で観測できない期間を除いて計算した。
図は米国航空宇宙局(NASA)提供の衛星観測データをもとに気象庁で作成した。



2019年の世界のオゾン層(月平均)

   月平均オゾン全量・偏差の分布図で年間のオゾン層の変化をさらに詳しくみてみます。北半球では-10%以下の負偏差は、1月から3月の太平洋北東部から北アメリカ大陸北部にかけてと、北アメリカ大陸南部から大西洋北西部にかけてでみられ、+10%を超える正偏差は、1月から4月のユーラシア大陸北部などでみられました。 このうち負偏差の領域は、対流圏界面の高度が平年より高い領域に対応しています。 赤道付近では、1月から3月まで全域正偏差でしたが、5月以降は負偏差が広がりました。 一方、赤道から少し離れた南北両半球の25度付近では、6月頃から正偏差域が広がり、9月に縮小しましたが、10月以降また正偏差域が広がりました。 これらは、3月頃まで負の位相(高度とともに東風から西風に変化)だった成層圏準2年周期振動(QBO)が、5月頃から徐々に正の位相(高度とともに西風から東風に変化)に変化したことと対応しています。 南半球では、7月、8月に南太平洋から南アメリカ大陸南部にかけて-10%以下の負偏差が、インド洋南部で+20%以上の正偏差がみられました。9月以降は、高緯度で正偏差が広がり、特に9月から11月は+40%以上となりました。 これは、南極オゾンホールの規模が例年よりかなり小さく推移したことが要因と考えられます(「南極オゾンホールの状況(2019年)」を参照)。


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