世界のオゾン層の状況(2023年)
診断
2023年の世界のオゾン層(年平均)
2023年の年平均オゾン全量は、北半球高緯度や南半球中・低緯度で広く正偏差、それ以外の領域で概ね負偏差となりました。 特に南半球高緯度の負偏差は顕著となり、南極オゾンホールの規模が最近10年間の平均値より概ね大きく推移したことが要因と考えられます。
(a)年平均オゾン全量 |
(b)年平均オゾン全量偏差(%) |
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2023年の世界のオゾン全量及び偏差の年平均分布図
それぞれの等値線は(a)が15 m atm-cm間隔、(b)が2.5 %間隔である。
(b)の偏差(%)は累年平均値(1997~2006年)からの差の割合。
冬季の高緯度付近は、太陽高度角の関係で観測できない期間を除いて計算した。
図は米国航空宇宙局(NASA)提供の衛星観測データをもとに気象庁で作成した。
2023年の世界のオゾン層(月平均)
月平均オゾン全量・偏差の分布図で年間のオゾン層の変化をさらに詳しくみてみます。
北半球では、-10%以下の負偏差は2月、5月に北欧や太平洋北部、北アメリカ大陸でみられ、+10%以上の正偏差は2月に北アメリカ大陸北部、3月、11月に北欧でみられました。これら負偏差の領域は、対流圏界面の高度が平年より高い領域、正偏差の領域は、対流圏界面の高度が平年より低い領域に対応しています。
赤道付近では、1月はほぼ全域で正偏差でしたが2~4月は負偏差と正偏差が混在し、5~12月はほぼ全域で負偏差となりました。一方、赤道から少し離れた南半球の緯度25度付近では4~12月、北半球の緯度25度付近では11~12月に正偏差の領域が広くみられました。
これらは、1月頃まで負の位相(高度とともに東風から西風に変化)だった成層圏準2年周期振動(QBO)が、2月頃から徐々に正の位相(高度とともに西風から東風に変化)に変化したことと対応しています。
南半球では、3月や5~12月の中緯度及び高緯度で、-10%以下の負偏差や+10%以上の正偏差の領域が所々でみられました。また、11月は東南極に-20%以下の負偏差、西南極に+10%以上の正偏差がみられました。これは、11月は南極オゾンホールが東南極側に偏っていたこと、南極オゾンホールの規模が最近10年間の平均値より大きく推移したことが要因と考えられます(「南極オゾンホールの状況(2023年)」を参照)。