気象庁 | 気候リスク管理技術に関する調査(アパレル分野)


B社 サンダル

1. 販売数と気温の関係を調べる

季節の進みとともに気温が上がっていく3月から5月中旬頃にかけての期間を対象として、サンダルの販売数と気温との関係をみる。

用いたデータ

  • 気象データ:東京(大手町)の日平均気温
  • 販売データ:首都圏店舗におけるサンダルの日別販売数
    • 曜日による変化の影響を除いて、気温と販売数の関係を見やすくするため、気温データ、販売データとも対象日(横軸)を中心に7日移動平均して用いた。
    • 同系列の色が各々の年に対応している。

結果

  • サンダルは春先に売上を伸ばす商品である。平均気温が15℃を上回る頃から販売数の伸びが大きくなる。
    年によってそのタイミングに1か月近く差の生じることがある。
  • 4月の気温が高かった2009年は他年になく4月上旬から販売数の伸びがみられる。
  • 4月顕著な低温傾向が続いた2010年は販売数の伸びがみられたのは月末頃からである。

2. 2週間先の予測に基づく対応策(2009年の天候推移を事例として)

サンダルの販売数と気温の関係が明瞭であったことから、その関係を利用し、気象庁が発表する1か月予報および異常天候早期警戒情報の2週間先の気温予測を活用した対応策を、2009年の実際の予報を例に示す。

①1か月予報に基づく対応策案

  • 用いた予報:平成21年3月13日に発表された1か月予報(予測対象期間は3月14日から4月13日)
    • 気温が平年並及び高い確率がともに40%。平年より低い確率は20%。高温傾向を示唆する内容である。
  • 対応策案
    • ブーツの早期収束を想定し、売価設定などのアクションを早める検討を行う。
      代わりとなるパンプス、サンダルの早い展開ができるよう供給体制を整える。
    • 例年よりサンダルの動きが早いことが予想されるため、生産状況、在庫状況をこまめに確認する。
    • 倉庫から店舗への供給において、例年より少し早めにサンダルを各店舗に出荷するようにスケジュールの調整を図る。

②2週間先の予測に基づく対応策案

サンダルの販売数が大きく伸びる目安温度は平均気温が15℃(以上)。2週間先の予測ではその確率を参考にする。
なお、通常春先に平均気温が15℃を超えるのは4月半ば頃。

発表日 確率時系列 確率密度分布
3月27日(金)
3月31日(火)
4月3日(金)

発表日 内容 対応策案
平成21年3月27日(金)
(予測対象期間:4月1日~4月10日)
気温はおおむね平年並の予想。15℃を超える確率は4月4日からの1週間で13%。 15℃を超える確率はまだ13%だが、直前の寒の戻りと比べた気温反動が大きいため、体感的には気温以上の暖かさ。例年より早めでもサンダルの供給を早め、提案できる展開ができる体制を整える。
平成21年3月31日(火)
(予測対象期間:4月5日~4月14日)
気温はほぼ平年並の予想。15℃を超える確率は4月8日からの1週間で29%。 サンダルの展開は始めるが主力はパンプスとすることの確認。平年並の時点では事前スケジュールに沿ったアクションで可。
平成21年4月3日(金)
(予測対象期間:4月8日~4月17日)
気温はかなり高くなる確率が高まった。15℃を超える確率は4月11日からの1週間で69%と急上昇。 サンダルを至急強化する判断。倉庫からの商品供給を実施。適宜週間予報を利用しながら、晴れた日に特に積極的に接客トークの中で商品提案を行うよう、販売担当に指示を出す。

天候検証

本調査対象期間の2009年春は気温が平年よりかなり高かったが、3月下旬と4月下旬に強い寒の戻りがあり、気温の変動が大きかった。 平均気温が15℃を超えるタイミングも例年に比べて半月程度早かった。

東京の2009年春の気温推移(7日移動平均)

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(参考)調査報告書

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