Ｄ社 レディースニット
1. 販売数と気温の関係を調べる
レディースニットの販売数と気温との関係をみる。季節の進みとともに気温が下がっていく第33週（８月中旬頃）から第52週（12月下旬頃）の期間が対象。
用いたデータ
- 気象データ：東京（大手町）の週平均気温
- 販売データ：首都圏店舗におけるレディースニットの週別販売数
- 週の曜日区切りは月曜日から日曜日までとしている。
- 第33週は８月中旬頃、第52週は12月下旬頃である。
- 同系列の色が各々の年に対応している。
結果
- 気温トレンドの下降に合わせて販売数は伸びていき、平均気温がおおむね27℃（最低気温24℃）を下回る頃から販売数の伸びが大きくなる。
- ８月から９月前半は気温が高い（低い）と販売数が多い（少ない）傾向がみられる。
2. ２週間先の予測に基づく対応策（2010年の天候推移を事例として）
レディースニットの販売数と気温の関係が明瞭であったことから、その関係を利用し、気象庁が発表する１か月予報および異常天候早期警戒情報の２週間先の気温予測を活用した対応策を、2010年の実際の予報を例に示す。
①１か月予報に基づく対応策案
- 用いた予報：平成22年８月13日に発表された１か月予報（予測対象期間は８月14日から９月13日）
- 気温が平年より高い確率は70％。平年より低い確率は10％。残暑傾向を強く示唆する内容である。
- 対応策案
- 店長会議・ブランド会議等にて残暑 注意の通知。
- 物流倉庫に対してニット停滞の可能性を示唆。
②２週間先の予測に基づく対応策案
レディースニットの販売数が大きく伸びる目安温度は平均気温が27℃（以下）。２週間先の予測ではその確率を参考にする。 なお、通常秋口に平均気温が27℃を下回るのは８月下旬後半。週１回月曜日の全体会議で利用するため、金曜日の予測のみを利用する。
| 発表日 | 確率時系列 | 確率密度分布 |
|---|---|---|
| ８月20日(金) |  |
 |
| ８月27日(金) |  |
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| 発表日 | 内容 | 対応策案 |
|---|---|---|
| 平成22年８月20日（金） （予測対象期間：８月25日～９月３日） |
平年を大きく上回る可能性が高く、厳しい残暑が続く予想。27℃を下回る確率は８月28日からの１週間で29％。 | 厳しい残暑予想のため、ニットの展開は例年より遅くする判断。その分、カットソーやパンツなどの売り場を維持する指示を出す。 |
| 平成22年８月27日（金） （予測対象期間：９月１日～９月10日） |
気温が平年を大きく上回る厳しい残暑が続く予想。27℃を下回る確率は９月４日の１週間で44％。 | 引き続き厳しい残暑が予想されるため、当日の気温をみながらカットソーとレディースニットの売り場面積を臨機応変に調整しながら展開するよう指示。 |
天候検証
本調査対象期間の2010年の夏は北日本、東日本を中心に記録的な猛暑だった。 ８月の東日本は太平洋高気圧に覆われ、厳しい暑さが続き、この高温は９月中旬にかけて続いた。 ９月下旬、一時的に寒気が入り、気温が平年を下回った。平均気温が27℃を下回るタイミングは平年より２週間近く遅れ、９月８日頃であった。
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| 東京の2010年８月から10月の気温推移（７日移動平均） |
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